外壁サイディング塗装でコーキング打ち替えは必要?劣化症状と判断基準
外壁の色あせやチョーキングが気になり、外壁塗装を検討する築25〜30年の外壁がサイディングの住宅が増えています。見積に「コーキング(目地)打ち替え」が入っていて、“塗るだけじゃダメ?”と戸惑う方も多いはず。結論、サイディングの弱点は外壁の面ではなく、目地やサッシまわりです。塗装のみだと防水の弱点を残し、数年で割れ・剥離が再発して再工事…という最悪の事例も。この記事では施主目線で、打ち替えが必要な劣化症状、増し打ちとの違い、標準施工の重要ポイント、見積・契約前に確認すべきチェック項目までを整理。ムダな出費を防ぎ、安心して工事を進めるために、施工店・メーカーの考え方も必要最小限で補足します。
外壁サイディングの塗装が増えた理由
外壁サイディングの塗装の相談が増えている背景には、「サイディング住宅の母数がとても多い」という前提があります。戸建ての外壁はサイディングが主流で、いま築25〜30年あたりの住宅が一斉に“メンテナンスの山”を迎えています。新築当時はピカピカでも、年月とともに外壁は紫外線や雨風の影響を受け、塗膜や目地が少しずつ傷んでいきます。外壁塗装を検討するきっかけとして多いのは、見た目の変化(色あせ・汚れ)だけでなく、触ると白い粉が付くチョーキング、コケや藻、細かなひび割れなど、「劣化のサイン」が目に見えて増えることです。
ただ、サイディング外壁のメンテナンスで大事なのは“外壁を塗ること”そのものより、家を守る機能がどこで弱くなっているかを見極めることです。サイディングはボードを継ぎ合わせて張る構造上、必ず目地(継ぎ目)が生まれます。そして目地を埋めているコーキング(シーリング)は、建物の伸縮に合わせて動く「可動部」で、塗膜よりも先に劣化しやすい部位です。築年数が進むほど、過去に部分補修(増し打ちや一部だけの補修)が入っている家も混在し、状態がバラつきます。だからこそ、塗装を考え始めた段階で「目地も同じタイミングで点検する」ことが、後悔しない工事につながります。
築年数と劣化サインの目安(目安表)
| 築年数の目安 | 外壁で起きやすいこと | 施主が気づきやすいサイン |
|---|---|---|
| 10〜15年 | 塗膜の防汚・撥水が低下 | 汚れが落ちにくい、色あせ |
| 15〜20年 | 塗膜劣化+目地の劣化が進行 | チョーキング、コケ・藻、目地のひび |
| 25〜30年 | 目地の剥離・破断が増えやすい | 目地が切れる/浮く、雨染み、反りが気になる |
※あくまで目安です。立地(海・川・交通量)、日当たり、過去のメンテ履歴で前後します。
このように、築25〜30年は「外壁を塗れば終わり」というより、塗装と同時に目地(コーキング)の状態を確認し、必要なら打ち替えまで検討すべき時期です。
外壁サイディングが塗装だけだと危険な理由
外壁塗装を検討するとき、多くの方は「壁の色あせ」や「汚れ」をきっかけにします。もちろん見た目の改善は大切ですが、サイディング外壁のメンテナンスで本当に重要なのは、雨水の侵入口になりやすい場所(弱点)をつぶすことです。ここを押さえずに“外壁の面だけ”を塗り替えると、数年で不具合が再発し、結局もう一度足場を組む…というもったいない流れになりがちです。
サイディング外壁の弱点は「面」より「線と点」
サイディング外壁は、ボード(板状の外壁材)を組み合わせて貼る構造です。つまり必ず「継ぎ目」ができ、そこをコーキング(シーリング)で塞いで防水します。また、サッシ・換気フード・配管まわりなど、部材同士が取り合う場所にも隙間が生まれます。
このような“線(目地)”と“点(開口部まわり)”は、建物の揺れや温度変化による伸縮の影響を受けやすく、塗膜よりも先に劣化しやすいのが特徴です。
【図解】面・線・点の考え方(イメージ図)

- 面:サイディングボード表面(塗装で保護できる)
- 線:ボードとボードの目地(コーキングで止水)
- 点:サッシ・換気口・配管・照明などの取り合い(コーキングや部材で止水)
結論:塗装は「面」を守る工事。
コーキングは「線と点」を守る工事。
片方だけでは、家全体の防水性能は整いません。
塗装だけで起きやすい“よくある失敗”
塗装だけで済ませた(あるいはコーキングを増し打ちで軽く済ませた)場合、次のようなトラブルが起きやすくなります。
- 数年で目地が割れる/切れる
→ 目地は動く場所なので、劣化したままだと早期に破断しやすい - 目地の剥離から雨水が入り、下地が傷む
→ 外壁材の反り、釘浮き、内部の腐食に波及することも - サッシまわりや換気フードまわりが先に傷む
→ 「塗ったのに雨染みが出た」と感じやすいポイント - 再発→再工事で足場代が二重になる
→ 最終的に“安く済ませたはずが高くつく”パターン
塗装だけ vs 塗装+コーキングでの違い
| 工事内容 | 見た目 | 防水の弱点対策 | 数年後の再発リスク | 施主の満足度 |
|---|---|---|---|---|
| 塗装だけ | ◎ | △(線と点が残る) | 高め | 「不安が残る」 |
| 塗装+目地点検・打ち替え | ◎ | ◎(弱点も更新) | 低め | 「安心感が違う」 |

3者視点で見ると“ズレ”が起きやすいポイント
ここで面白いのが、施主・施工店・メーカーで「見ているところ」が少し違う点です。ただし、この記事の主役はあくまで施主(読者)なので、施主のメリットに翻訳して整理します。
- 施主(読者)の本音:
「見た目はもちろん、雨漏りや再工事のリスクを下げたい」 - 施工店の現実:
「塗装だけだと不安要素が残る。説明不足だと後でトラブルになりやすい」 - メーカー(材料側)の前提:
「材料は仕様通り施工されて初めて性能が出る。撤去・プライマー・接着条件が大事」
つまり、施主としては「塗装だけで大丈夫です」と言われたときに、
“線と点の弱点はどのように対策しますか?”
を確認できると、失敗確率が下がります。
施主が最初に確認すべき結論
外壁塗装を検討し始めたら、まずは次の2点をセットで考えてください。
- 外壁の面(塗膜)を更新する:塗装
- 弱点になりやすい線と点を更新する:目地・開口部のコーキング点検(必要なら打ち替え)
劣化症状の見分け方
外壁塗装と同じタイミングでコーキング(目地)を点検すべき理由は、「劣化が進むと防水性能が一気に落ちる」からです。ただし、劣化には段階があり、すべてが即“打ち替え必須”というわけではありません。ここでは施主が現場で確認しやすい症状を、危険度つきで整理します。まずは自宅の目地がどの状態に近いかを把握し、見積や業者の説明が妥当か判断できるようにしましょう。
【図解】目地の劣化が進む流れ

目地の劣化は、ざっくり次の順で進みやすいです。
色あせ・汚れ → 表面ひび割れ → 肉やせ → 剥離 → 破断(切れ) → 雨水リスク増
「切れてから」では遅いケースもあるため、早い段階で気づけると理想です。
【表】劣化症状別|危険度と推奨対応(保存版)
| 劣化症状 | 見た目の特徴 | 施主ができる確認 | 危険度 | 推奨対応 |
|---|---|---|---|---|
| 表面ひび割れ | 細い亀裂が入る | 近くで観察、広がりを確認 | ★★☆ | 状態次第(要点検) |
| 肉やせ | 目地が痩せて凹む | 凹みが深い/影ができる | ★★★ | 打ち替え推奨 |
| 剥離 | 壁から浮く/隙間が見える | 指で軽く押すと浮く感じ | ★★★ | 打ち替え優先 |
| 破断 | 目地が切れて隙間 | 隙間が連続して見える | ★★★ | 打ち替え必須 |
| 硬化 | ゴム感がなく硬い | 押しても弾性が少ない | ★★★ | 打ち替え推奨 |
| ブリード汚染 | 黒い筋・汚れが出る | 目地に沿って黒ずむ | ★★☆ | 材料選定+塗装計画 |
※築20年以上で「肉やせ+ひび割れ」など複数当てはまる場合は、打ち替え前提で検討する方が安全です。
症状別のポイント(施主が見落としやすい所)
1)表面ひび割れ:軽そうに見えて油断しやすい
細い亀裂だけなら「まだ大丈夫」と思いがちですが、ひび割れが広い範囲に出ている場合や、触ると硬くなっている場合は要注意です。目地は動く部位なので、弾性(伸びる力)が落ちていると割れが進行しやすくなります。
チェックのコツ
- ひびが“線状”に長く続いていないか
- ひびの周囲が白っぽく粉を吹いていないか
- 目地が硬くなっていないか
2)肉やせ:雨水が溜まりやすくなる
肉やせは、目地が痩せて凹みが目立つ状態です。ここまで進むと、目地の断面が薄くなって追従性が落ち、割れやすくなります。さらに凹みに水が溜まりやすく、劣化が加速することもあります。
チェックのコツ
- 目地の凹みが“深い”
- 光の当たり方で影が強く出る
- 触ると表面が固い
3)剥離:最優先で対処したいサイン
剥離は、目地がサイディングから離れて隙間ができている状態です。ここまで来ると、雨水の侵入口が明確になり、放置はおすすめできません。特に縦目地だけでなく、サッシまわりや換気フードまわりの剥離は、雨染みの原因にもなりやすいポイントです。
チェックのコツ
- 目地の端に“隙間”がある
- 指で押すと浮いている感じがする
- 目地が波打って見える
4)破断:ここまで来たら打ち替え必須
破断(切れ)は、目地が連続して切れている状態です。防水の連続性が途切れているため、雨水が入り込むリスクが高く、打ち替えが必須になります。特に雨が当たりやすい面(南西面など)で起きやすい傾向があります。
チェックのコツ
- 目地が“完全に割れて開いている”
- 破断が長く続いている
- 雨のあとに筋状の汚れ(雨染み)が残る
5)硬化:割れの前兆になりやすい
目地が硬くなると、建物の動きに追従できず、ひび割れや破断へ進行しやすくなります。「見た目はそこまででもないのに、触るとカチカチ」というケースは要注意です。
チェックのコツ
- 押しても弾力が少ない
- 表面が粉っぽい
- ひび割れとセットで出ている
6)ブリード汚染:黒い筋は“材料相性”のサイン
目地に沿って黒い筋が出る場合、ブリード汚染の可能性があります。これは目地材の成分が表面ににじみ出て汚れを呼びやすくなる現象で、塗装仕上げや材料選定(ノンブリード材)とセットで対策します。見た目の悩みとして相談が多いポイントなので、次回の記事②(コーキング材比較)に自然に繋げられます。
【チェックリスト】自宅でできる簡易診断

- 目地に隙間が見える(剥離)
- 目地が切れている(破断)
- 目地が大きく凹んでいる(肉やせ)
- 触ると硬い(硬化)
- 黒い筋が目地に沿って出ている(汚染)
- サッシや換気フードまわりに割れ・隙間がある(点の弱点)
2つ以上当てはまる場合は、打ち替えを前提に点検・見積を取るのが安全です。
コーキングの打ち替えと増し打ちの判断
コーキングの見積書でよく出てくるのが「打ち替え」と「増し打ち」です。ここを理解していないと、“安い方が得”に見えて、数年後に再工事になることがあります。結論から言うと、築25〜30年のサイディング外壁では、コーキングは基本的に打ち替え優先で考えるのが安全です。増し打ちは「条件がそろう場合の例外」として捉えると失敗が減ります。
【図解】打ち替えと増し打ちの違い
- 打ち替え:古いコーキングを撤去 → 下地処理 → 新規充填
- 増し打ち:古いコーキングの上から追加充填(撤去しない)

施主目線で言い換えると
打ち替え=「弱点を作り直す」
増し打ち=「今ある弱点の上に上塗りする」
という違いです。
打ち替え vs 増し打ち 比較表
| 項目 | 打ち替え | 増し打ち |
|---|---|---|
| 既存材の撤去 | する | しない(基本) |
| 防水性能 | ◎(根本改善) | △(旧材の状態次第) |
| 耐久性 | 長くなりやすい | 短くなりやすい |
| 再発リスク | 低め | 高め |
| 初期費用 | 上がりやすい | 下がりやすい |
| 向くケース | 築年数が進んだ目地、剥離・破断 | 撤去困難部、軽微劣化の限定対応 |
ここで一番重要なのは、「増し打ちは旧材の状態に性能が引っ張られる」という点です。古いコーキングが硬化していたり、壁から剥がれていたりすると、その上に新しい材料を乗せても、根本的な防水性能は回復しにくくなります。
結論:基本は「打ち替え」を第一候補に
築25〜30年の外壁サイディングのメンテナンスでは、次の症状がある場合は打ち替え優先が鉄則です。

【チェック】打ち替え優先になりやすい症状
- 剥離(目地が壁から浮いている/隙間がある)
- 破断(切れている/口が開いている)
- 深い肉やせ(凹みが深く、断面が薄い)
- 硬化(触るとカチカチで弾性がない)
- 過去に増し打ち歴がある(段差がある/補修跡がある)
これらは、増し打ちで「一時的に見た目を整える」ことはできても、性能面の不安が残りやすい状態です。
増し打ちが“許される”のはどんな時?
増し打ちが一概に悪いわけではありません。現場では、どうしても撤去が難しい箇所や、劣化が軽微で「リスクを理解した上で限定的に採用」するケースもあります。
増し打ちが検討されやすい条件
- 撤去が物理的に難しい(サッシ周りの一部など)
- 既存材が 剥離していない(密着が健全)
- 目地寸法が確保でき、増し打ち後に 必要な厚みが取れる
- 施工店が リスク(耐久低下)を説明している
- 次回メンテまでの「つなぎ」と割り切る(長期保証を期待しない)
ここがポイントです。
増し打ちは「説明があって初めて成立する工法」です。
安さだけで増し打ちを押す提案は要注意です。
施工店の事情も“施主のメリット”に翻訳して理解する
施工店が増し打ちを提案する背景には、次のような事情があります。
- 撤去時にサイディング端部を傷めるリスクがある
- 工期やコストを抑えたい要望がある
- 撤去が難しい部位がある
これは理解できる一方で、施主としては「長期的に安心できるか」が最優先です。だからこそ、提案された工法に対して次の2点を確認すると安全です。
施主が確認すべき2つの質問
- どの範囲が打ち替えで、どの範囲が増し打ちですか?(部位と理由)
- 増し打ちの場合、耐久はどの程度を見込んでいますか?(再発リスク説明)
この質問にスムーズに答えられる施工店は、工事内容を整理して説明できる可能性が高いです。
【図解】おすすめの考え方(意思決定フロー)

施主としては、次のように考えると判断がブレません。
- 剥離・破断がある → 打ち替え
- 肉やせ・硬化が強い → 打ち替え
- 軽微なひび割れのみ → 状況次第(点検で判断)
- 撤去困難部 → 条件付きで増し打ち(リスク説明必須)
施工品質の重要ポイント
「打ち替えを選んだから安心」――実は、ここからが本番です。コーキング工事は材料名より施工品質で寿命が大きく変わります。極端に言えば、高耐久材でも施工の基本を外すと短命になり、逆に標準的な材料でも“基本通り”に施工されていれば長持ちしやすい。施主としては職人さんの手元をずっと見張る必要はありませんが、最低限のポイントを知っておくだけで、見積の説明や現場の写真から「ちゃんとやっているか」を判断しやすくなります。
【図解】コーキング品質を決める4原則

この記事では、失敗を避けるために次の4つだけ覚えてください。
- 目地寸法(幅と深さ)
- 3面接着を防ぐ(2面接着にする)
- プライマー適合と塗布管理
- 材料の管理(有効期限・保管)
施工店の腕=センス…だけではありません。
「基本を守る」ことが最大の技術です。
① 目地寸法(幅と深さ)が足りないと割れやすい
コーキングは「厚み」が命です。目地が狭すぎたり浅すぎたりすると、伸縮に追従できず、ひび割れ・破断しやすくなります。サイディングの標準施工でも、目地幅や深さの考え方が示されています。
【表】目地寸法の目安(施主向けの理解)
| 項目 | 目安 | なぜ重要? |
|---|---|---|
| 目地幅 | 約10mm程度 | 伸縮の逃げ代を確保 |
| 目地深さ | 5mm以上 | 十分な厚みで追従性を確保 |
※現場条件や製品仕様で最適値は変わります。「薄くしか入らない目地」は要注意、という理解でOKです。
施主が確認しやすいポイント
- 目地が極端に細い(髪の毛レベル)場所が多い
- 既存の目地が浅く、凹みが目立つ
- 「とりあえず埋めればOK」という説明になっている
② 3面接着を防ぐ(2面接着)が超重要
コーキングでよくある早期破断の原因が、3面接着です。
目地の左右(サイディングの側面)だけでなく、目地の底(奥)にも接着してしまうと、コーキングが引っ張られて逃げ場がなくなり、割れやすくなります。
そこで重要になるのが、バックアップ材やボンドブレーカーです。これらを入れて目地底に接着しないようにし、2面接着の状態を作ります。
【図解】3面接着NG/2面接着OK(画像②)
- NG:左右+底に接着(動きに追従しにくい)
- OK:左右のみ接着(底は接着しない=動ける)
施主が確認しやすいポイント
- 見積や説明に「バックアップ材」「ボンドブレーカー」が出てくるか
- 工程写真で、充填前に何か入れている(奥に素材が見える)か
- 目地の仕上がりが薄すぎないか(薄い=3面接着になりやすい)
③ プライマーは“適合品+塗りムラなし”が前提
プライマーは、コーキングと下地(サイディング・既存塗膜)を密着させるための接着剤のような役割です。適合していないプライマー、塗りムラ、乾燥時間のミスは、**剥離(はくり)**の大きな原因になります。
また、塗装工事と同時に行う場合は、既存の塗膜や下地の状態によっても適合が変わるため、施工店の管理が重要です。
【表】プライマーで起きやすい失敗
| 失敗例 | 起こりやすい症状 | 施主の見え方 |
|---|---|---|
| 適合していない | 早期剥離 | 目地の端が浮く |
| 塗りムラ | 部分剥離 | ところどころ隙間 |
| 乾燥不足 | 密着不良 | 触るとペリッと剥がれそう |
施主が確認しやすいポイント
- 見積に「プライマー」記載があるか(“コーキング材だけ”は危険)
- 工程写真に「プライマー塗布」があるか
- 「プライマーは塗りますよ」と言うだけで、適合の話がない場合は質問する
④ 材料管理(有効期限・保管)は“地味だけど致命的”
コーキング材は消耗材ですが、有効期限があります。期限切れや保管不良の材料は、本来の性能が出ません。公共工事の標準仕様でも、シーリング材は規格に適合し、有効期限を過ぎたものは使用しないことが示されています。民間工事でも、品質を担保する上で非常に重要な考え方です。
【チェック】材料管理で施主が見たい一言
- 「材料は期限内を使用します」
- 「開封後は適切に管理します」
- 「メーカー指定のプライマー・仕様で施工します」
現場で施主が材料の箱を全部見る必要はありません。ただし、施工店が“当たり前に言えるかどうか”は、品質管理の目安になります。
4原則を「見積・現場」で確認する方法
| 4原則 | 見積で確認 | 現場(写真)で確認 |
|---|---|---|
| 目地寸法 | 打ち替え範囲・数量(m) | 仕上がりが薄すぎない |
| 2面接着 | バックアップ材等の記載 | 充填前に部材が入っている |
| プライマー | プライマー項目あり | 塗布工程写真がある |
| 材料管理 | 材料名の明記 | 施工報告で説明がある |
3者視点で見る“本当の論点”(短い補足)
- 施主:再工事の確率を下げたい(足場代も痛い)
- 施工店:工程管理が品質と信用を決める(写真が強い)
- メーカー:仕様を守って初めて性能が出る(基本がすべて)
だから施主としては、難しい専門用語を覚えるより、次の一言が言えるだけで十分です。
「バックアップ材(またはボンドブレーカー)と、プライマーの工程写真はありますか?」
見積書のチェックポイント(ここだけ確認)
外壁塗装の見積は、金額だけを見ると判断を誤りやすいです。とくにコーキング工事は「やる/やらない」だけでなく、工法(打ち替えor増し打ち)と中身(数量・材料・工程)で品質が変わります。ここでは施主が契約前にチェックできる項目を、できるだけ具体的に整理します。読み終わったら、見積書を横に置いて照らし合わせてみてください。
良い見積の条件|最低限ここが書かれている!
| チェック項目 | 見積に書かれている理想形 | なぜ重要? |
|---|---|---|
| 工法 | 「打ち替え」or「増し打ち」を明記 | 工事品質と耐久が大きく変わる |
| 範囲 | 「外壁目地」「開口部まわり」など部位が明確 | 重要箇所の“やり残し”防止 |
| 数量 | 〇〇m(メートル)で記載 | 一式より透明性が高い |
| 材料名 | コーキング材名+プライマー名 | 相性・品質説明ができる |
| 付帯材料 | バックアップ材/ボンドブレーカー等 | 2面接着を守るため |
| 工程 | 撤去→清掃→プライマー→充填→仕上げ | “打ち替えの中身”の確認 |
| 記録 | 工程写真の提出(または施工報告) | 言った言わないを防ぐ |
「一式」は危険?結論:中身が見えないと危険です
見積に「コーキング工事 一式」とだけ書かれている場合、どこを、どの工法で、どの材料で、どれだけやるのかが分かりません。もちろん簡略見積として一式表記が使われることはありますが、契約前には必ず「中身」を確認しましょう。
施主が確認すべき質問(そのまま使えます)
- どの範囲が打ち替えで、どの範囲が増し打ちですか?
- 数量(m)はどれくらいですか?根拠はありますか?
- 材料名(コーキング材・プライマー)は何ですか?
- バックアップ材(またはボンドブレーカー)は使いますか?
- 工程写真は提出できますか?
この質問に具体的に答えられる施工店は、工事内容を整理して説明できる可能性が高いです。
数量(m)の見方:完璧でなくても“根拠”が大事
施主が数量を正確に計測する必要はありません。ただ、数量(m)が書かれていれば、工事範囲が想像でき、他社比較もしやすくなります。
よくある数量の目安(イメージ)
- 1面だけ部分施工 → 数十m
- 外壁全面の目地+開口部まわり → 100m〜数百m(建物形状で大きく変動)
大切なのは「この数量はどこをやる数量か?」です。
“外壁目地のみ”なのか、“開口部も含む”のかで意味が変わります。
材料名の記載があるか(コーキング材+プライマー)
コーキング材のグレードはもちろん重要ですが、同じくらい重要なのがプライマーです。プライマーは密着の要で、ここが曖昧だと剥離リスクが上がります。
【表】材料名が書かれていない見積で起きやすいこと
| 状況 | 施主側のデメリット |
|---|---|
| 材料名が未記載 | 施工後に「何を使ったか」証明しづらい |
| プライマー未記載 | 密着不良が起きても原因追及が難しい |
| 代替品運用が不明 | 仕上がりや耐久がブレる可能性 |
「材料名が書かれていない=即NG」ではありませんが、良い施工店ほど説明が明確です。
工程写真(または施工報告)があると失敗が減る
施主にとって、工程写真は“保険”です。
コーキング工事は完成後、外からは見えない工程(プライマー、バックアップ材など)が多いからです。
【チェック】写真で残してほしい工程(これだけでOK)
- 撤去前(劣化状況)
- 撤去後(清掃後)
- プライマー塗布
- 充填(材料が入っている状態)
- ヘラ押さえ(仕上げ)
- 完成

これが揃うと「ちゃんとやった」が証拠になります。
施主向け:契約前チェックリスト(保存推奨)
- 工法(打ち替え/増し打ち)が明記されている
- 施工範囲(外壁目地/開口部など)が明確
- 数量がm表記、または根拠説明がある
- コーキング材名とプライマー名が分かる
- バックアップ材(またはボンドブレーカー)の説明がある
- 工程写真または施工報告がある
- 保証範囲(塗装/コーキング)が説明されている
迷ったら、この一言でOKです。
「目地は3面接着にならない施工で、プライマー工程も写真で残りますか?」
よくある失敗と対策(ここで9割防げます)
外壁塗装は、見た目が大きく変わる分「工事が成功した」と感じやすい反面、サイディングの場合は目地や開口部の小さなミスが数年後に表面化しやすい工事でもあります。ここでは、実際に起こりやすい失敗パターンと、その回避策を施主目線で整理します。「うちは大丈夫かな?」と不安な方ほど、契約前に一度チェックしておくと安心です。
失敗パターンと原因・対策
| よくある失敗 | 起きやすい原因 | 施主ができる対策 |
|---|---|---|
| 塗装は綺麗だが目地が数年で割れる | 目地が劣化したまま/増し打ちで済ませた | 工法(打ち替え/増し打ち)と理由を確認 |
| 目地が壁から浮いて隙間ができる(剥離) | 下地処理不足/プライマー不適合・ムラ | プライマー工程写真の有無を確認 |
| 目地が切れる(破断) | 3面接着で動きに追従できない | バックアップ材/ボンドブレーカーの説明 |
| サッシまわりから雨染みが出る | 開口部まわりの施工範囲漏れ | 範囲に「開口部」が含まれるか確認 |
| 安くしたつもりが結局高くつく | 再発で再足場(足場代が二重) | “次のメンテ周期”までの計画で判断 |
失敗①:塗装だけで済ませて目地が早期に再発
見た目が整うと安心しがちですが、サイディングの弱点は目地(線)と開口部(点)。塗装だけで目地の劣化を放置すると、数年でひび割れ・肉やせ・剥離が再発することがあります。
対策(施主がやるべきこと)
- 目地は「点検する」ではなく、劣化状況に応じて打ち替え検討する
- 「塗装だけで大丈夫」の根拠(目地の状態説明)を聞く
- 劣化症状(剥離・破断・深い肉やせ)があるなら打ち替え優先
失敗②:増し打ちで安くしたが、結局すぐ再工事
増し打ちは“条件付きの例外”です。旧材が硬化していたり剥離していたりすると、その上に新材を盛っても性能が戻りにくく、短期間で再発しやすくなります。
対策
- 増し打ちの場合は必ず次を確認
- どの部位が増し打ちなのか
- なぜ撤去できないのか
- 耐久の見込み(次のメンテまで持つ想定か)
- 安さだけで増し打ちを推す提案は避ける
- 迷ったら「打ち替えを基本に、撤去困難部だけ例外扱い」にする
失敗③:3面接着で目地が割れやすくなる
完成後に見た目が綺麗でも、内部で3面接着になっていると、目地が動きに追従できず破断しやすくなります。ここは施主が一番見えにくいポイントです。
対策(ここは写真で確認するのが最強)
- バックアップ材/ボンドブレーカーを使うか確認
- 工程写真(充填前)で、目地奥に部材が入っているかを見る
- 見積に付帯材料の記載があるか確認
失敗④:プライマー管理不足で剥離が起きる
目地の剥離は「材料が悪い」よりも、下地処理・プライマー管理の問題で起きることが多いです。プライマーの適合ミスや塗りムラ、乾燥時間の不足などが重なると、端から浮いて隙間になります。
対策
- 見積に「プライマー」が明記されているか
- 工程写真に「プライマー塗布」が含まれるか
- 施工店の説明が「塗ります」だけでなく、適合や管理の話まであるか
失敗⑤:開口部まわりの施工漏れで雨染みが出る
見落とされがちですが、サッシまわり・換気フード・配管などの“点”は雨水リスクが高い場所です。外壁目地だけを更新しても、開口部まわりが古いままだと雨染みの原因になりやすいです。
対策
- 見積の範囲に「開口部まわり」が含まれているか
- 範囲が含まれないなら、理由(材質・撤去困難など)を確認
- 施工対象外なら「将来的なメンテ計画」を説明してもらう
施主が覚えておくべき結論(短く)
失敗を避けるために、契約前に次の3点だけは押さえてください。
- 工法(打ち替え/増し打ち)と理由が明確か
- 施工品質の基本(2面接着・プライマー)が守られるか
- 施工範囲(目地+開口部)が漏れていないか
失敗を防ぐ3つの質問
施主としては、次の質問ができれば十分です。

これに具体的に答えられる施工店は、現場管理ができている可能性が高いです。
まとめ
外壁塗装を検討する築25〜30年のサイディング住宅では、「塗るだけ」で終わらせると後悔しやすいのが現実です。サイディング外壁の弱点は外壁の面ではなく、ボード同士の目地やサッシまわりなどの“線と点”。ここを担っているコーキング(シーリング)が劣化したままだと、塗装で見た目が整っても、防水の不安が残り、数年で割れ・剥離が再発して再工事になることがあります。
だからこそ、塗装と同じタイミングでコーキングを点検し、剥離・破断・深い肉やせ・硬化が見られる場合は「打ち替え」を基本に検討するのが安全です。増し打ちは条件がそろう場合の例外で、安さだけで選ぶと再発リスクが高まります。また、コーキングは材料名より施工品質が重要です。目地寸法、3面接着防止(2面接着)、プライマー管理、有効期限といった基本が守られて初めて性能が出ます。見積書は「一式」ではなく、工法・範囲・数量(m)・材料名・工程写真の有無まで確認し、納得して契約することが失敗回避の近道です。

FAQ(よくある質問)5選
Q1. 目地に少しひびがあるだけなら、打ち替えは不要ですか?
軽微な表面ひび割れだけなら“状態次第”です。ただし築年数が進んでいたり、触ると硬くなっていたり、肉やせ・剥離が併発している場合は打ち替え優先になります。判断が難しいときは、目地の状態(弾性・隙間・深さ)を写真付きで説明できる施工店に点検してもらうのが確実です。
Q2. 増し打ちは絶対にダメですか?
絶対にダメではありません。撤去が難しい部位や、劣化が軽微で厚みが確保できる場合など、条件付きで採用されることがあります。ただし旧材の状態に性能が左右されやすく、耐久が短くなりやすい点は理解しておく必要があります。増し打ちの場合は「どこを、なぜ増し打ちにするのか」を必ず確認しましょう。
Q3. 高耐久のコーキング材を使えば、施工が多少雑でも大丈夫?
大丈夫ではありません。コーキングは材料名よりも施工品質で寿命が変わります。目地寸法、2面接着(3面接着防止)、プライマー適合と塗布管理、材料の有効期限管理など“基本”が守られて初めて、材料性能が活きます。
Q4. 塗装とコーキングを別々のタイミングで工事してもいいですか?
可能ですが、基本的には非効率です。別々に行うと足場が二重になり、費用が増えやすくなります。外壁塗装のタイミングで目地も点検し、必要な範囲だけでも同時に施工した方が、トータルコストと安心感のバランスが良くなりやすいです。
Q5. 見積が高いか安いか、施主が判断するコツは?
金額だけでは判断できません。チェックすべきは「工法(打ち替え/増し打ち)」「施工範囲(目地+開口部)」「数量(m)」「材料名(コーキング+プライマー)」「付帯材料(バックアップ材等)」「工程写真の提出」です。これらを具体的に説明できる見積ほど、内容が明確で比較もしやすくなります。
参考・一次情報(公式)
- 一般社団法人 日本窯業外装材協会(NYG)|シーリング工事(標準施工)
- 日本窯業外装材協会(NYG)|窯業系サイディングと標準施工 第4版(PDF)
- 国土交通省|公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)(PDF)
- ニチハ|住まいの外壁 メンテナンスガイド(PDF)
- KMEW(ケイミュー)|住宅外まわりのメンテナンスについて(PDF)
この記事の著者

<名前 / Name>
岡山リフォームBlog代表よしのり
<実績 / Achievements>
20年間大手ハウスメーカーのリフォーム部門で営業・設計・現場管理を学ぶ。営業所長・エリアマネージャーを歴任。累計100棟以上の住宅リノベーションを担当し、現在は地元で地域密着リフォームを実践しています。最新のリフォームの情報やノウハウをブログで公開します。 <資格 / Qualifications & Certifications>
二級建築士・二級建築施工管理技士・既存住宅状況調査技術者・古民家鑑定士一級・外装劣化診断士